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愛さんの言葉は、旅を通した多くのひととの出会いと体験から生まれてきた。
だが「教えてもらうばかり、見せてもらうばかりで、訪れた場所に何も置いてこれない自分に苦しんだ時期もあった」という。旅人が、現地の環境や文化に悪影響を及ぼしてしまうことさえあるのだから。
短い、駆け抜けるような旅では、自分が日常から解放されたという感覚だけをもって終わってしまう。長く旅を続けることで知り合いができ、現地の視点を得ることができる。すると、このひとたちに自分は何ができるのかという発想へ、考え方がシフトし始める。
ピースボートというNGOそのものは、1983年の初航海から20年間以上がたち、2008年には60回目の地球一周の旅に出る。これまでに延べ3万人近い人びとが、航海を経験してきたという。旅そのものの中で「恩返し」できずに苦しんだ愛さんは、ピースボートの航海を終えた人々と再会することで、その悩みに一種の答えを得たという。
「ピースボートの地球一周を通して問題意識を持った人の中には、帰国後にNGOを立ち上げた人もいる。たとえばアースデイのような環境イベントに行けば、「第何回のピースボートに乗ってました!」という人にあちこちで再会する。そうすると、ピースボートでの体験が社会を少しだけ変えたことがわかる。旅のなかで恩返しができなくても、旅で教わったこと、見たことを通じてそのひとが変化して、日本を変えようとする。そして日本が変わることで世界が変わるという仕方で恩返しができればいい――いまではそう思えるようになった」
彼女が環境運動に参加してメッセージを発信する理由も、そこから変化が広がることが、自分らしい生き方を与えてくれた海への恩返しなのではないかと思えた。
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